あの山この沢
丹沢、神ノ川彦右衛門谷
出合から延々と続く堰堤を越えてやっと河原に
降り立ってもツメまでほとんど急なゴーロ状の沢
画像をクリックすると拡大されます。
コースタイム
神ノ川ヒュッテ560m→(40分)広河原725m→(18分)最後の堰堤上の河原830m
→(15分)F
1(10m)上945m→(40分)F2(8m)上1170m→(7分)二俣1230m
→(15分)奥の二俣1245m→(25分)小尾根に取付く1420m
→(30分)檜洞丸山頂1600m→(20分)大笄分岐点1495m
→(40分)上の林道875m→(20分)下の林道565m→(8分)神ノ川ヒュッテ
2004年5月8日(1996年7月28日)
★神ノ川林道を神ノ川ヒュッテ前の日陰沢橋を渡るとすぐに車止めゲートとなり、そこから40分も歩くと広河原に着く。この広河原が広い河原たる所以は、
ここに流れ込む彦右衛門谷が膨大な石ころを押し出しているからだろう。神ノ川も広河原から上流部分は金山谷と名を変えるが、こちらは広い河原を形成するほどには石ころの押し出してはない。
★以前の広河原は堰堤もなく広大なゴーロとなってどこにでもテントが張れそうな河原で、車も神ノ川本流近くまでかなり下れたが、今では一般車は神ノ川ヒュッテから先は入れないし、堰堤で本流への車での下降は無理。堰堤工事も当面は終わっている。
★広河原は彦右衛門谷出合ということになるが、神ノ川本流から数えると彦右衛門谷には合計13個の堰堤が続く。そのうち
3個は林道より下、林道からの踏跡にしたがって進むと続く2個も観て過ぎるだけに終わる。しかしこの後8個も堰堤を乗っ越さなければならない。
どの堰堤も右側に鉄梯子や鎖がかかっている。全部通過して川原に降り立つと、広河原からもう100m以上も登っている。
★堰堤全部を通過してやっと降り立った川原で身支度を整えてみたものの、この沢はほとんどず〜っとゴーロ状でワラジやフェルト底である必要性は乏しい。
★この最後の堰堤のすぐ上で左から合流する小沢は金山谷乗越近くへ突き上げる源蔵小屋谷だ。
★本流は最後の堰堤上からは先が見えないほどのガレを右から押し出している。このガレた石ころの山に上がって上流を見上げると、見事なまでに急傾斜のゴーロが続く。
★F1(10m滝)はいちばん左の水流沿いが楽に登れる。濡れたくなければ、右や中央の乾いた岩壁を攀じるのも楽しい。この沢はあえてクライミングに挑戦しないと後幾つもクライミングするところがない。
★F2の手前に4m滝がある。水流左のかすかな凹角を登るが、岩がボロボロでかなり脆い。
★このすぐ上でF2(8m滝)となる。この沢唯一と言っていい滝らしい滝だ。流れの右の方が岩が硬く安定しているがすべりやすいので、こ
こはやはり安全第一左のルンゼ状を登る。遠目には簡単そうだが、傾斜もありしかも上部はホールドにしようとする岩全体が剥離しそうでかなり怖い。足場の細かいホールドも長く踏ん張っていると崩れるので、スピードが肝心。直上すると大岩が被さっているので左に逃げ
て、石ころと一緒に落っこちないように慎重にずり上がる。
★もう一つのルートは、このルンゼ状が脆いのでさらに左のカンテを登る方法だが、こちらも上部で岩全体がぐらぐらと剥離しそうになるし足場も崩れる。すばやく直上するしかない。
★F2の最も安全なルートはこの滝全体の手前から見ると左に顕著な枝沢があるが、これかもしれない。しかしこのルンゼの上部で本流との間の小尾根を乗越すための小尾根への這い上がりと、本流への下降が危なそうだ。本流から見ると降りれなくはなさそうだが、、。
★F2を過ぎると、すぐに二俣となる。右に進むが、
右は3m滝がかかり上部がハングしている。右端から中段のバンドに乗りあがって、水流右のクラックを利用して攀じ登る。下段も上段もかなり大きな岩がぐらついているので怖い。高巻くには、手前の右側泥斜面を少し登って、滝上にトラバースすることになるだろう。二俣の中間尾根は簡単そうではない。
★二俣を過ぎ、奥の二俣を右に入るとじきに水が涸れ、源頭らしくなる。右手の小尾根もかなりの急傾斜のようだから、もうしばらくはガレた沢をツメることにする。
★沢床のガレが浮石状態になってやっと右手の小尾根に移ったが、この小尾根も急で樹林がまばらだから真横に移動してもあまり楽そうではなさそうなので、真上気味に小尾根の泥斜面を登って1500m付近でやっと小尾根上に立った。
★背の低い熊笹帯を疎林に掴まりながら登っていくと、フキやバイケイソウが現れ、檜洞丸山頂の登山者の声が聞こえてくる。
★檜洞からは大室山方面への縦走路を北西に下降するが、頂上直下は東沢本棚沢側にかなり崩壊が進んでいる、大崩壊に近い。いずれはこの縦走路も金山谷乗越付近のように道自体が崩れ落ち難所になるかもしれない。