あの山この沢
丹沢、神ノ川ヒワタ沢(檜皮沢)
下部ゴルジュの連続する大滝越えがこの沢の核心部、
丹沢主稜線につめた後は大笄から短時間で下山できる
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コースタイム
神ノ川ヒュッテ560m→(40分)広河原725m→(10分)上の林道のヒワタ橋775m
→(30分)F5(F6)上850m→(40分)中央がリッジ上の二俣1120m→
(30分)沢のどんづまりスラブ1380m→左の小尾根へ→(10分)稜線・登山道1465m右へ
→(7分)熊笹ノ峰1523m→(5分)大笄分岐点1495m→(40分)上の林道875m→
(20分)下の林道565m→(8分)神ノ川ヒュッテ
2003年9月23日(ゴルジュ部のみ9月20日も)
★神ノ川林道を神ノ川ヒュッテの車止めゲートから40分も歩くと広河原
に着くが、その手前に立派な鉄橋がかかっている。ここがヒワタ沢だ。林道は広河原で右にヘアピンカーブを描いて10分ほどでまたヒワタ沢を渡る。下の立派な橋から上の橋までヒワタ沢は堰堤だらけで遡行する気にもならない。時間を短縮するなら上の橋まで林道を歩いたほうがいい。
★橋から臨めるゴルジュはなかなかの圧巻だ。15m滝F1はちょうど橋の下にあるので、橋からはF1落口が目前に見れる。F1の全貌を見るなら、林道を少し下ってガレた斜面を沢床まで降りればよい。F1はとても登れそうもない。
★F1を眺めゴルジュの全景を堪能したらゴルジュに降り立つことになるが、橋の左岸の林道脇の泥側面に上がり、樹林の中を7、8歩進めば、F1落口真上に達する。
★落口真上の潅木が一番懸垂下降に適しているが、わずか3〜4mだがはるか下の滝下を見ながら斜め懸垂をして落口より少し上の岩のテラス状台地に降り立つのは気持ちいいものではない。
★岩壁上の樹林をもう少し進んで、F2下に近いところに懸垂することも可能。ゴルジュから引き返すにはF2に近いこちらのルンゼをよじ登ることになるが、岩壁上のトラバースが良くなく、したがってロープなしでの下降は危険だと思える。
★F2は左側を簡単に越せる。
★F3は写真では大雨直後のため左側も水流をかぶっている(通常の水量の写真)が、ここをシャワークライミングすることになる。水流右側も登れるが、上に抜けるところでかぶり気味の岩を乗越すのがつらい。
★F4は細いゴルジュの先に垂直に落ちていて登れそうもない。釜は以前(1997年)より浅く小さくなっている。F4は左から巻くことになるが、左壁は苔むした岩で取り付くのが大変だ。少し戻りF3上の左壁が登れるが、直ぐ上のバンドまでがかなり危ない。
★安全に高巻くには、F3の左岸側の大岩のところからクライムダウン。足場はいっぱいある。
★F2とF3の間の右岸に食い込むルンゼが上流側と下流側とにあるのでこれを登る。下流側のほうが傾斜が緩やかだ。急な上流側ルンゼと合わさった後も少し上ると、右にトラバースできそうなバンドが見える。これを慎重に移動すると、F3上の小ルンゼ上部のザレに出る。このザレを右によじると、F4上につながるしっかりしたバンドに達するが、かなり怖い。
★上記のF2F3間のガレルンゼをもっと上まで上るとスラブになり、F3上のザレとの境の小尾根が直ぐ右手になるところがあり、これに乗り移れば、ザレ上部をトラバースしてF4上に達するバンドに比較的困難なく移れる。こちらのルートのほうが安全だ。
★落口真上からF4を鑑賞したら、目前にあるF5下に懸垂下降する。直径7〜8cmだが支点になる潅木はいくつかある。
★F5は幅の広い綺麗な形の滝だ。林道取付点から沢に降り立つことなく左岸岩壁のはるか上を大高巻きして、このF5滝下広場に左岸泥ルンゼから降りてくるルートもあるようだが、時間がかかる。
参考タイム(2003年9月13日)林道の橋→F2,3,4を左岸から全部高巻く→(30分)F5下 このルートの引き返しは怖い。
★通常のガイドブックではF5は12m幅広美瀑となっているが、幅広美瀑だけをF5とするなら、直ぐその上にある4m垂直滝はF6としなければならない。全体をF5とするなら、これは2段18mぐらいの滝と表現しなければならないだろう。写真でも写っているように、12m幅広滝の上には細いハングした滝が構えている。写真では大岩を挟んで二条になっているが、これは大雨直後のせいで、普段は左の水流しかない。
★ガイドブックでは、右の側壁との境のクラックを利用して登れそうにも書かれているが、F5を上りきれてもF6は登れないだろう。F6右端がどうなっているか未確認。
★F5・F6は一気に高巻くことにする。右岸の泥っぽいルンゼをよじ登り、適当なところで右にトラバースしようとしてもトラバースできそうなところがないのでひたすら登っていくと、小尾根に登りつく。直ぐ下にF6上で左折した沢が穏やかな流れで流れている。笹の斜面をジグザグに降りて河原に立てる。河原を少し戻って、F6落口真上のバンドから下を眺めると、F5は無理して登らなくてよかったことに納得。F5上は傾斜の緩い広いテラスになっているが、とてもF6に取り付けそうもないことが良く分かる。
◎二日前、大雨の前だが、このF5高巻き中に小枝に頭をぶっつけ、「アレッ、ヘルメットがない!」と、取付きの林道橋の脇に置き忘れてきたことに気付き、稜線まで登り切って取りに引き返すには時間がかかりすぎると思い、今来たルートを引き返すことにした。ゴルジュの中のルートを忠実にクライムダウン(F5の泥ルンゼは易、F4のガレ・スラブも易)、トラバースを恐々、懸垂したところはそばを何とかよじ登り(F4は易、はじめの側壁も易)、橋まで戻ると雨が降ってきた。その1週間前(9月13日)には、橋の袂まで来て、フェルトわらじを忘れてきたことに気付きその日の遡行を断念。前記の高巻きルートの探索に終わった。
★もし上部での崩壊がなく岩で埋まってなければ、綺麗な岩壁やナメや滝で構成されてそうな河原を進むと、二俣に達する。
★二俣前後の小滝群は楽しい。今回は水量が多く最後のツメにはいるまで水はあったが、前回は二俣下でいったん涸れ、二俣付近でまた流れ、その上で直ぐに涸れていた。
★急なガレを忠実に登っていくと、最後はガレからスラブに変わり、岩壁状のどんづまりになる。このスラブはそれほど脆くはなく、ほとんど最後まで登れる。直進方向あと3mぐらいのところで、左の小尾根に移れば、疎林の急斜面を10分ちょっと登れば稜線の登山道に出る。小尾根から振り返ると、先のスラブは沢のどんづまりではなく、岩壁上で再度右上方向に広大なザレとなっていた。
★縦走路を右に数分登ればこの辺りの最高地点熊笹ノ峰、少し下れば神ノ川ヒュッテから檜洞丸への最短路の登山道(矢駄尾根コース)が出合う。近年、檜洞丸近辺の初夏のシロヤシオ鑑賞のハイカーが急増し、泥道を避けて笹の中に幾筋もの踏跡ができ、かえって道が分かりづらくなっている箇所もあるが、この矢駄尾根は歩き易い登山道だ。下り始めて10分ぐらいで尾根がだたっ広くなり、尾根が左にも派生する。この左の尾根に移る前にほんの少し間の谷間を歩くようになる。ここだけ注意すれば迷うことなく、ヒュッテまで最短路だ。