あの山この沢
丹沢、神ノ川井戸沢
中間部に半身シャワーも楽しめる滝が連続、
934mピークと鐘撞山の中間部にツメる
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コースタイム
神ノ川林道井戸沢出合(鐘撞山登山口)485m→(30分)4段10m滝下610m
→(10分)4段15m滝上650m→(15分)4段堰堤上745m
→(10分)左ルンゼ風二俣800m→(10分)樹林の尾根に取り付く860m
→(10分)県界尾根登山道895m→(5分)鐘撞山山頂900m→10m戻って
→(25分)井戸沢520m→(5分)神ノ川林道井戸沢出合
2006年10月21日
★神ノ川
林道の2つ目のトンネル、大瀬戸トンネルを抜けると左に川ジャリの砕石場(立石砕石(株))がある。ここのダンプ出入口を少し過ぎると、右側にジャリを敷き詰めた広場(駐車場)がある。林道脇には鐘撞山至るの看板がある。この広場は神ノ川ヒュッテと同じ「牧野財産区」の管理地だが、林道反対側には砕石場の車などが止めてあるので、この広場に駐車する場合もジャマにならないように砕石場に一声挨拶はしておこう。広場の写真
★この広場の奥に堰堤で流れ下っているのが井戸沢だ。井戸沢はこの広場と林道の下を暗渠となって神ノ川に注いでいる。
★広場の先にあるコンクリの堰堤3つを左岸につけられた登山道(仕事道)で越えると、沢にすんなり降りることができる。ここから遡行開始。堰堤には「立石沢第2」と書かれている。
★尚、25000図や昭文社のエアリアマップには、右岸に道がありほどなく井戸沢を渡って左岸に移って山腹をトラバースして県界尾根に達することになっているが、県界尾根に達する部分は今は廃道である。後ほど鐘撞山から小尾根を下降して最後に右にトラバースして炭焼き跡で井戸沢に達するが、この最後のトラバース部分から炭焼き跡までの部分は、この廃道となった道の一部だろう。
★こじんまりした沢だが水流はそれなりにあり、河原も広い。しかし、枯れ枝が覆っていたりクモの巣が張っていたりで、初めのうちは水流の中は歩きにくい。左から小沢が2つ合わさって、すぐに左岸の山腹がせまってくる。ここが沢からは見えないが炭焼き跡の台地だ。
★最初の2段の低い石積み堰堤は石垣登りで直登する。次の2段の高い石積み堰堤は右からザレた斜面を攀じって2つとも高巻く。
★すぐに2段3m滝を越すと、下流部最後の幅の広い石積み堰堤がある。石積み堰堤の5つ目だ。左を直登できる。
★河原の先でゴルジュっぽくなり、2mずつの2段4m滝がある。少し濡れながら水流を登る。すぐに左折気味に2mナメ滝があり、この上でまた右折して、谷が開ける。
★開けた谷の先には、はるか上から滝が折り重なるように一直線で落ち込んで両岸も藪が消えきれいな斜面に変わり「すばらしい!この沢に来て良かった」と感嘆するような景観が現れる。これから登る滝はいったい何段あるのか胸がわくわくしてくる。この沢で景色の一番すばらしいところだ。
★まずは4段10m滝、2〜3m滝が4段続く。一つ一つの滝の傾斜があまりなく簡単に越せる。
★次は、トイ状多段3m滝、これも簡単だ。
★最後は、4段15m滝、この沢の核心部だ。厳密には4m、3m、3m、3m滝の連なる滝だが、どれも立っているので慎重に登る。1段目は水流の左を半身シャワーで、2段目は乾いた部分は脆いので水流にルートをとるほうが楽だが、やはり半身シャワーとなる。3段目は水流の右を、4段目は水流の左を、それぞれ半身濡れながら直登する。
★この上で沢はS字に屈曲しドンヅマリのような両岸の岩壁がせり出して井戸沢の名の由来らしき井戸の底のような地形になる。このゴルジュの中に2m小滝が2つあるが、別段難しくはない。
★ゴルジュの出口には二条4m滝がある。左端の枯葉と泥でグズグズのところから這い上がる。
★この上で谷は開け、3段の石積み堰堤が現れる。左岸上部にも石積みが見える。石垣登りで直登する。水流は、この最初の堰堤の下から湧いているが、ここで水は涸れる。
★堰堤上の広い河原は一服するのにちょうどいい。この先にさらに直登できる堰堤4段が続く。一番上の堰堤はゴーロに埋まって跨げる高さだ。
★谷の傾斜は増して涸れた2段滝を越すと、さらに急になってくる。
★ここからゴーロを5分も登ると、右に一直線に稜線まで達していそうな乾いたルンゼが切れ込んでいる二俣地形になる。鐘撞山からの下山を考えると、上方に稜線の見えるこの右ルンゼに入った方が良さそうではあるが、かなり急で万一行き場に窮したときルンゼ左右にも逃げられそうもないので、前方が断崖に見える本流にルートをとる。
★本流は確かにすぐに岩壁に囲まれた行き詰まりになるが、右手の岩壁が涸れ滝だと考えるとさらに奥へと伸びていそうなので、その剥離しそうな涸れ滝4mを攀じ登る。その上はものすごい傾斜の泥と落ち葉のルンゼが上に伸びていた。
★このルンゼ、両岸はぼろぼろの岩で、左右の小尾根もルンゼ同様の急でまばらな植林のため、ルンゼを四つん這いで這い上がる方が楽そうだ。進める限り泥ルンゼを登って、これ以上は無理というところで左の小尾根(斜面)に這い上がる。しかし、しばらくは泥に足がとられたなかなか一歩が踏み出せないようなふさふさの泥斜面だ。何とか這い上がって足場がしっかりしてきたら、かすかな踏跡がこのお椀地形の中をトラバースしている。青のスズランテープを目印にトラバース道を右にとると、すぐに登山道に出た。
★鐘撞山と25000図にある934m峰の間の釣尾根の、934mピークに近い地点にツメたことになる。少し下って登り返すと鐘撞山だ。
★鐘撞山からの下降路は、「黒岩から鐘撞山」の項を参照のこと。