あの山この沢
表丹沢、大山川本谷
山岳信仰の山、大山に突き上げる
急峻な大山川を遡行する
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コースタイム(8人、かなりゆっくり)
大山ケーブル下社駅700m→(5分)二重ノ滝下670m→(55分)F4、5mハング滝下745m
→(40分)10m滝上815m→(35分)F7、5mトイ状滝上905m
→(40分)4m、4mCS、3m滝上1000m→(35分)左の小尾根に取り付く1050m
→(20分)登山道1205m→(5分)大山山頂1252m→(55分)下社700m
2007年4月28日
★山仲間8人で表丹沢の信仰の山、大山に急角度で突き上がる大山川に沢登りに行った。
★大山川は、大山ケーブルのバス終点のそばに流れている川だが、県道・参道沿いから大山山頂に突き上げる急峻な沢だ。バス停付近では水流のしっかりある川だが、沢登りの対象である二重ノ滝から上では水流はほとんどなくなる。
★下社(標高700m)まではケーブルに乗って、茶屋脇を日向薬師方面への関東ふれあいの道と名付けられた登山道を約5分で大山川二重ノ滝(標高670m)に到着。沢に架かる橋を渡って社のそばで沢仕度を整えここから遡行開始だが、この二重ノ滝から続く5m滝を登り切ると水流は消えるので、渓流シューズ等はなくても登れる
★社のそばに堂々と流れ落ちる滝が二重ノ滝とガイドブックには記載されているが、多分この最初の滝が二重ノ滝なのではなく、その上の2条の滝がこの名称の由来だろうと思う。もっとも上の2条滝を合わせて「2段12m滝」としないと、下段だけでは12mはなさそうだ。滝が連続する場合、どこでどう区切って○段と考えるかは人の主観により、最初に名付けた人の命名がそのまま通称になるのだろうが、上下の中間で一旦短いゴーロの広場となるこの滝を「2段」というほどには連続性はないようにも見える。しかし、あるいは2段になっていることを二重というのだろうか。
★ともかくもこの12m滝は左のルンゼを登れば簡単なのだが、わが山仲間達は物好きが多く流水右のツルツルの壁を残置スリングを頼りにがむしゃらに登ってみたいということで、さっさと左のルンゼから登った数名を尻目に一生懸命「腕力」で登ってしまった。
ロープで安全確保された登攀にどれほどの達成感があるのか分からない。この上の2条は簡単だ。
★この大山川本谷は沢全体が急峻で岩床が現れているので、どこが滝か分からないぐらいだが、一応ガイドブックに○m滝と記載されている滝はやはり滝らしい滝となっている。
★5m滝は上部のかぶり気味に注意して登り、さらに進むと7m滝となるが、こちらはルンゼ内が階段状になっているのでたやすく越せる。
★5mハングの滝は、ガイドブックなどでは倒木を頼りの登るとなっているが、今は倒木などどこにももたれかかっていないので簡単ではなさそうだし、いつもはぶら下がっているはずのスリングが今日はないというので、そそくさと高巻ルートを探す。ところが仲間達はここが面白いところだから登ろうと、スリングをかけてかなり苦労しながら、というより
ロープで引き上げられながら登ってしまった。苦労して攀じ登るよりも左にはザレを少し登って右にトラバースして落口上に降りるしっかりした巻道がある。こちらの方が迅速かつ安全で簡単だ。しかし、直登もざらついた乾いた岩だからそんなには難しくないようだ。
★7,8mの傾斜の緩い滝を越すと10m滝が現れる。わずかに濡れた水流右の乾いた岩が階段状になっているので、この滝は簡単に越せるが、落口がツルツルに磨かれているので滑りやすい。最上部で左の落口付近にトラバースして滝上に立つ。
★10m滝上にも小滝が続いて、ゴーロとなると、右からの枝沢を過ぎて20mぐらいで二俣だ。25000図で見る限り、左俣の方が本流で、大山頂上そのものにつめあがりそうだ。しかし、ここは右に入る。
★二俣を右に入ってしばらくゴーロを進むと、F7とされる5mトイ状滝となる。この滝は薄暗くジメジメとしていて真ん中にはかすかに水流があるが、全体がヌメっている。最初の一歩、約1mぐらいがこの沢の核心部だ
そうだ。一歩立ち込めれば後は体をトイに挟み込んでジワジワと登れるようだが、グチョグチョに濡れる。ここしかルートはないのならともかく、とても登る気にはならない滝だ。高巻くには、左のザレをかなり上まで登って右にトラバースして滝上に降りてこれる。ザレでスリップの危険以外は危なくはない。
★上部の二俣風な地形は、左が20m近くある傾斜の緩やかな乾いた涸棚で出合い、右沢は泥も出ていて貧弱に見えるが、右に入る。
★この上は一歩歩けば落石の起きそうな急なゴーロと小滝が続いて、
4m滝、4mチョックストン滝、3m滝と続く。4mチョックストンはチョックストンの左へ抜ければいい。その上の3mは狭いトイ状なので、体を挟み込んで上に抜ける。右の壁も登れるが、上部が滑りそうなザレだ。
★この上は、滝なのかただの岩床なのか分からないぐらいの急勾配となって、一歩歩くごとに落石の起きそうなガレに覆われてくる。
★急な岩床になって左右の尾根が低くなってくると、左の小尾根に這い上がって、スズタケの生えた疎林帯を左へ左へと意識しながら登って行くと、約20分で登山道に出る。
★左へ5分も登って行くと大山山頂に達する。ここには売店もあって、登山道を登ってきた仲間がビールを買って待っていてくれた。怪我もなく遡行できて乾杯。
★山頂で少し時間をかけすぎたか、下山途中でとうとう予報どおりの雷雨になってしまった。