山の写真集 あの山この沢

Self Rescue Technique
人の手で負傷者を抱え上げる
(ヒューマンチェーン)

これまで、ザックや雨具で担架を作ったり負傷者を背負ったりする方法を述べたが、倒れている負傷者を背負うにしろ担架に乗せるにしろ、人の手で負傷者を抱えおこしたりある程度の距離は人の手で移動したりしないといけないから、今回は安全に人の手で抱え上げる方法を考えてみよう。

複数の人(救助者)で1人の負傷者を抱え上げる方法でもっともポピュラーなのは人で抱える「ヒューマンチェーン」といって、負傷者の両側から背に手を入れていわば救助者の腕で負傷者を抱える方法だ。

@        負傷者の左右に一方が1人、反対側に2人位置し、首、腰、お尻の下、膝といった屈曲部の浮いたところに両側から手を入れる。

A        救助者は腰、お尻の下、膝の部分で手の平同士を掴む(握手する)のではなく互いに相手の手首を掴むようにする。これは何よりもすっぽ抜け防止対策だ。特に冬場で手袋をしていてうっかり手袋を摘んだりすると、これは危険だ。

B        負傷者の首を持ち上げる人は、同時に頭も持ち上げるように腕枕状に抱えるようにしないと負傷者がきつい。もし、救助者側にもう1人人員がいれば、頭を持つ係になってもらうとよい。

C        準備ができたら、まず誰か人が掛け声をかけて「1」で膝の高さまで、次に「2」で立ち上がるようにする。

D        膝の高さまでというのは、救助者が両膝をついた状態から片膝を立てて安定した状態のこと。

E        負傷者が完全に意識不明状態で倒れているときは、そう簡単に手が入るわけないので、初めは互いに手が離れない程度に掴めればそれで一旦膝の高さまで「1」で抱え上げる。膝の高さで救助者みんなの体勢を整えてから「2」で立ち上がればよい。。

このヒューマンチェーンは頭の側を受け持つ人に非常に重量がかかるので、あらかじめ力のある人が頭の側になるように配置するように気をつけることも重要。逆に足の側は比較的軽いので、こちらは力のない人でも大丈夫。
また、冬場に厚手の手袋をしてたり服がかさばっていたりで互いに手首を掴みにくいときは、スリングを短めに3
重ぐらいにして、それを互いに掴めば楽に担ぎ上げることができる。

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