あの山この沢
丹沢、神ノ川エビラ沢
出合の大滝から上流まで迫力ある滝が多い
ツメ上げた袖平山からは出合まで不明瞭ながら道がある
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コースタイム
エビラ沢橋440m→(25分)小さい石積堰堤上(下降地)470m→(10分)二段堰堤下495m→
(40分)5m滝F4上575m→(10分)三条4m滝595m→(30分)25m大滝F5下685m→
(5分)大滝上715m→(45分)10m滝F8連瀑帯下930m→(20分)連瀑帯最後の7m滝F12下995m
→(10分)10m滝F13上1020m→この上で水涸れる→(20分)二段の石積堰堤上1135m→
(25分)ガレのツメ、右の尾根に取付く1265m→(25分)下山道1415m→右へ→
(2分)袖平山頂1431m→下山道へ戻る→(50分)植林帯始まる1005m
→道見失う、植林帯を直滑降→(40分)社宮司沢580m→
(30分)神ノ川キャンプ場425m→(7分)エビラ沢橋
2004年7月19日
★神ノ川
林道に入ってはじめにあるマス釣り場が神ノ川キャンプ場。ここはシーズンともなると、釣り客だけでなくオートキャンプやバンガローに泊まる人たちで賑わうキャンプ場だ。通常のマス釣り場よりはきれいに整備されている。
★車ならこの神ノ川キャンプ場入口を過ぎて2分も行ったところに、正面から勢いよく落下しているきれいな形の滝を見ることができる。この滝がエビラ沢のF1、20m滝だ。前後の道路が整備され、旧道が車を数台駐車できるスペースとなっている。
★駐車スペースには年間を通じて「丹沢の天然水」を汲みに来ている人がいる。天気が良ければ、滝壺ではバーベキューをしている人たちもいる。
★出合のF1、F2(10m)はとても登れそうもないので、しっかり踏まれている左側の登山道を登る。木立が茂ってしまう夏場には、F1の全景は滝壺に降りなければ見づらい。F2などは出合からはさらに見づらくなる。
★昔は釣師しか通らなかったこの登山道も、最近は地元山岳会が標識を付けたりして村興し町興しに力を入れているので、歩き
やすくなった。大きく左に回りこむように登ると、ジグザグ道になる。F1上を覗ける所や、F2上のゴルジュを見下ろせる所などに踏跡もある。沢に下りるには沢沿いの踏跡の3本目に入って、適当に進んだ所から約15m懸垂下降する(もっと上までジグザグ登るとすんなり降りれる所があるのかもしれない)。☆楽に降りれる所はあった!こちらを参照。
★懸垂で降り立った所はちょうどF1からF3までのゴルジュが終わった石積堰堤がある所だ。
★前回(1995年9月30日)この沢を遡行したときは、この巻道のはじめに沢を見下ろせる踏跡に入り、F2上の右岸バンドを恐る恐るトラバースして沢に降りた。すぐにF3があり手前に大きな釜があるので左のバンドをトラバースして乗越し、最初の小さな堰堤は右側を越した。そこまでおよそ15分で抜けているので、今回同一地点まで約25分もかかっているわけで、やはり高く巻きすぎと懸垂下降となると時間がかかってしまう。
★比較的大きなトロ(淵)を通過して行くと、頭上に巨大な石積堰堤が二段現れる。右から容易に越すと、平凡な河原になる。
★左右とも広い河岸段丘状の河原が狭まってくると、左から支流を合わせ、大きな岩の乗っかったチョックストーン滝F4(5m)となる。左から釜に入って、水面下の足場を探して一気に水流際を攀じ登る。ハンドホールドは沢山ある
が、一歩目の足場が小さい。
★三条4m滝は、右の水流を登る。
★しばらくすると快適に登れる1m〜3mほどの小滝が連続し、沢が右に曲がるとこの沢最大の落差の25m大滝となる。大滝の手前の2m小滝を登って
、この2m滝を形成する右のリッジを攀じ登って大滝を眺めながら高巻く。踏跡はしっかりしていて、ほとんど危険なところはない。沢への下降も簡単だ。尚、左からも高巻くことができ、前回は左を巻いたのだが15分もかかっている。
★連瀑帯のはじめのF8は10mとされるが、すぐ上のF9と合わせて二段20m滝と見るガイドもある。次のF10は落口が横向きの10m滝と描かれているガイドもある。
★今回は、初めの滝の下部がヌメッていて滑りやすそうだったので、連瀑帯最後の7m滝下まで一気に右から高巻いた。右の泥ルンゼから岩壁のかなり奥にある基部の切れ目を目指して登る。ここからひたすら潅木と泥混じりの岩壁を直上する、左にトラバースできそうなバンドを斜上しても、沢にすんなり降りれそうなところがなく、さらに岩壁で行く手をふさがれるので、少し戻りさらに上に上にと登る。およそ下から80mぐらい登ったところで岩壁の沢側に回り込むと、斜め下降すれば岩壁に閉ざされることなく沢に降り立てそうなところがあるので、樹林を掴みながら駆け下りる。
★前回はこの連瀑帯は高巻かないで、水流通し滝を全て直登した。はじめの二段20m(F8、F9にあたる)は右の壁を直登できる。下部は滑りやすい。落口から離れないようにラインをとるのが簡単。次の落口が横向きの10m滝はシャワーを浴びながら攀じ登るが、水圧がすごいので吹っ飛ばされないようにがんばる。次の小滝(F11)は簡単。
参考タイム(1995年9月30日)
20m滝(F8、F9)下→(10分)上→(3分)10m滝(F10)下→(5分)上→(2分)7m滝(F12)下→(3分)上
7m滝下までおよそ20分かかっており、今回大高巻に20分要したのと時間的には変わらない。高巻くのはそんなには難しくはないが、下降点の判断が難しい(高巻きし過ぎれば、F12下に合流する枝沢ルンゼにぶつかりこれを下降すればいいらしいが)。
★連瀑帯最後の7m滝も右からの枝沢の上部から高巻くガイドもあるが、この滝は壁は立っているが細かいスタンス、ホールドは少しボロボロだがいくらもあるので水流右をシャワーを浴びながら直登できる。
★簡単に登れる10mのF13を過ぎると、水流が急に細くなり、すぐに涸れる。水が涸れると石積堰堤が現れ、少しゴルジュっぽくなって、さらにその先ゴルジュ出口で二段の石積堰堤がある。
★水が涸れてからツメのガレになるまでの間は大小数限りなく涸滝があり、どれも比較的岩が硬く石段状だ。
★ガレになってくると傾斜も急になり、幾俣にも枝分かれしてくるので、ルートファンディングに疲れてくる。
★このあたりの小尾根はけっこう猛烈な藪漕ぎを強いられるので、なるべく上部までガレをツメようとしたが、ガレの傾斜がぐっと増し、これ以上ガレを這い上がることができなくなり、左の小尾根に逃げる。
★踏跡もない小尾根の藪をビシバシ漕いで傾斜が緩むと、大きな尾根に合流し、しっかりした踏跡(下山の道)に出れる。右に2分も行けば笹が刈ってある袖平山の山頂だ。山頂を通り過ぎると東海自然歩道に出れる。
★エビラ沢出合に車を置いた場合、この東海自然歩道を風巻ノ頭、神ノ川ヒュッテに下ると、車道を40分以上も歩くことになるので、下山はやはり袖平山頂からエビラ沢出合へ一気に下るコースをとりたい。ということで頂上で一服した後、袖平山から北西に伸びる尾根を下降路にとる。山頂には「
社宮司橋、エビラ沢橋」の標識が立っている。
★今来たしっかりした踏跡を戻り、色あせた赤布や黄ビニルテープを頼りに下っていく。所々尾根がエビラ沢側に崩壊しているところもあるが、しばらくは尾根に忠実に低い広葉樹林帯を下ることに問題はない。約35分下った1140m付近は平坦になっている。さら約15分下った標高1005m付近から植林帯が始まる。
★植林帯に入ったとたん踏跡が不明瞭になると同時に尾根も幅広くなる。この植林帯が始まるあたりから、エビラ沢に向かう道は北西に伸びる尾根を忠実にたどればいいのだが、今回、植林帯に入って道が不明瞭になったにもかかわらず、地肌がふわふわ柔らかくなって小気味よく走り下ったものだから、800m付近で植林の中に赤松が植わっている所あたりから「左にもこちらより高い尾根がある、今下っている尾根は間違いだ」と気づいたが、登り返すのも面倒だし、「このまま下っても社宮司沢に出れるなら、社宮司沢なら下降できる、その前にエビラ沢と社宮司沢を結ぶ仕事道に出れるはずだ」と考え、間違えた植林帯の小尾根(北北西気味)を一気に下降。580m付近の社宮司沢に降り立った。仕事道は標高600m付近で社宮司沢を横断してるようだから、社宮司沢に降り立つ直前に仕事道があったはずなのだが、これも見つけることができなかった。
☆このエビラ沢出合までの尾根の正しいルートはこちら!
★単調な河原の社宮司沢を5分下ると左から2本沢を合わせ、さらに下ると堰堤が現れる。右(右岸)に踏跡もありロープも張ってある。さらに下ると、堰堤が二段あり、その下に神ノ川キャンプ場の取水タンクがある。この堰堤の左(左岸)に道がある。
★堰堤上から5分も下ると社宮司沢出合の神ノ川キャンプ場だ。舗装された車道を7分ほど登り返せばエビラ沢橋に戻れる。
★休憩時間を除くと袖平山頂からエビラ沢橋までおよそ2時間で降りれたことになるが、東海自然歩道を忠実に日陰沢橋まで下って車道をエビラ沢まで歩くと2時間半はかかる。しかし、東海自然歩道下部で神ノ川公園の橋に下らず今はもう完全に廃道になっている長者舎山荘にまっすぐ降りるコースをたどった場合は20分ぐらい短縮はできる。