あの山この沢
北丹沢、袖平山から
神ノ川社宮司沢橋・エビラ沢橋へ
エビラ沢、社宮司沢を遡行して袖平山にツメた場合、
所々不明瞭ながら各出合への最短下降ルート
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コースタイム
エビラ沢橋420m→(12分)小尾根上の台地500m→(5分)エビラ沢右岸
道から分岐550m
→(25分)十字路(小さな峠)695m→右(袖平山方向)へ→(20分)小さなピーク845m
→(30分)植林帯終わる1020m→(30分)休憩適地ピーク1141m→(55分)袖平山頂1431m
→(1分)東海自然歩道1425m→(1分)袖平山頂→(40分)休憩適地ピーク
→(18分)植林帯始まる→植林帯の左端方向へ下る→(20分)小さなピーク
→(25分)十字路→直進→(5分)ピーク722m→真北方向へ→(8分)小ピーク600m
→(20分)社宮司沢橋(神ノ川キャンプ場)410m→(7分)エビラ沢橋
2004年12月18日
★神ノ川林道沿いにある神ノ川キャンプ場はマス釣り場としてだけでなくオートキャンプ場としても賑わっている。このキャンプ場の入口に出合う沢が社宮司沢だ。林道の社宮司沢橋から沢沿いに10mも入ると、右手植林帯の急峻な斜面に向かって「袖平山」の標識が立っている。道はジグザグに斜面につけられている。
★先日エビラ沢を遡行しツメ上げた袖平山から、車を止めた出合のエビラ沢橋に降りてこようとして1000m付近の植林帯が始まったところで道を見失い、登り返すのが面倒で社宮司沢に下ってしまった
。社宮司沢は下降にも危険箇所はないので、いたって短時間で出合まで下れたが、やはりもっと安全なルートを下るのがポピュラーだろうから、袖平山からエビラ沢出合への最短の下降路をどうしても踏査したくて、今回エビラ沢出合から登ってみた。
☆エビラ沢の遡行記録は「エビラ沢」のページを参照のこと。
★目的はもう一つあった。出合に落下するエビラの大滝を右岸から高巻く場合、通常は右岸のしっかりした道から岩壁を少しトラバースして2段目
の滝上にひやひやもので這い下るか、もう一つ上の段まで巻いて立ち木から15m懸垂下降して最初の石積堰堤上に降り立つかの2通りだが、多くの遡行記録やガイドを見ると、この大滝全体=最初のゴルジュ全体をいともたやすく通過し、ゴルジュの通過方法があまり記録されてないので、もっと楽に巻いて降りれるルートがあるのか探して見たかった。
★ということで、年間を通じて「丹沢の天然水」を汲みに来ている人
がいるエビラ沢出合の駐車スペースに車を止め、落葉して2段目上まで見通せる大滝を眺めながら、滝壺の右岸上を大きく回りこむ砂利で滑りやすい仕事道に入る。「袖平山」への標識が立っている。木の桟敷も滑りやすい。入るとすぐにエビラ本流の大滝よりも落差のありそうな、水流も決して細々ではない枝沢の滝の下をトラバースして木のハシゴを登る。
★ハシゴを登った所から大木を支点にして懸垂すれば大滝1段目上、というより2段目滝壺に降りれる。ここから1回仕事道をジグザグして上に行くと、2段目上の岩壁に這いつくばってトラバースできる踏跡がある。バンドはすぐに外傾して途切れるので要注意。さらにもう1回ジグザグに登ると、かなりしっかりしたバンドがあって3段目滝も過ぎた上に懸垂できる。
★「大滝は左にしっかりした巻道がある」とだけで、沢に懸垂で降りるとも書いてない記録は、いったいどこから沢に入ったのだろうか? 釣り師達によく踏まれているこの仕事道をもっと登ってみた。ジグザグを繰り返すと、大滝の岩壁を形成するこの小尾根の上の小さな台地にたどり着き、ここでこの道の傾斜はなくなる。出合から高度にして100m登っている。
★道は山腹をトラバースして右手下にエビラ沢が見下ろせる。ほんの少し行くと斜面が緩やかになり、高度差にして20mぐらい谷状地形を沢に駆け下れそうな場所がある。ここまでの途中で岩壁から降りようなどと考えもしないでたどってくると、出合から15分もしないうちにエビラ沢の河原に立てるだろう。
★右下に沢を見下ろしながらトラバース道を進むと、「袖平山」の標識が左に直角に曲がって植林帯を登るように示されている。
★トラバース道はこの標識よりまだ先まで伸びている。後で戻ってくるとして、少し先まで行ってみよう。若干下り気味に進むとちょっと斜面が崩れていて谷に落ちそうなところもあるが、水流のない枝沢を越えて道はエビラ沢に不明瞭ながら下っている。これが25000図や昭文社のハイキング地図に示されている社宮司沢からエビラ沢まで上青根の小屋戸沢方向から伸びている点線の道だろう。沢に降り立ったところはエビラ沢の対岸が広い河岸段丘になっているところだ。昔は沢を渡って風巻ノ頭まで伸びていたようだが、踏跡は見当たらない。
★さて、25000図などではエビラ沢から枝沢の谷状地形を722m地点との十字路まで登るようになっているが、そんな道は今は見当たらない。先の標識があったところまで戻り、植林帯をジグザグに登る。下部の踏跡はかなり不明瞭だが、120mも登ると山腹のトラバース道になる。このトラバース道を10分も登ると、小さな峠に立つ。ここで道は十字路になっている。左は722mピークを通って社宮司沢橋、左は袖平山、正面右手に下っていく道が小屋戸沢方面への道。小屋戸沢方面以外は標識も立っている。
★袖平山へは右折して、尾根を十数歩進んだ後は幅の広い植林帯の急登となるが、すぐに痩せた尾根になり、植林は尾根の左側(北側)だけとなり、道も明瞭になって歩きやすくなる。傾斜の緩んだ痩せ尾根の小さなピークを過ぎ、左からうっそうとした植林帯の尾根がせまり、道も植林の中を進むようになると、尾根はだたっ広くなって、道が非常にわかりづらくなる。登りはとにかく高みに向かえばいいから気楽だが、下りは大変だと予感。周囲の地形や様子を振り返ってはしっかり頭に叩き込みながら前進。
★だたっ広いうっそうとした植林帯の急登の最後に左手からピンクテープの標が合わさってきた。これだ!これが間違いのもとだ、これをしっかり記憶しておこう。かなり目立つピンクテープと合わさった後いくつかこのピンクテープを拾って登ると、植林帯は終わる。少し行ったところに地図にある1141mの地点、休憩適地のピークがある。倒木に腰掛けて一服だ。
★先のピンクテープ、少し下り方向(社宮司沢方向)のものを追ってみたが、すぐになくなる。要するに先につながりのない道標だ。おおかたテープをつけながら下って、結局は迷って止めてしまった残骸かもしれない。前回はこれにうっかり騙されたのだった。
★この1141mピークからは袖平山頂までは尾根は痩せて、尾根を外さなければほとんど迷うことはない。所々ブッシュを避けるためにてっぺんを迂回するところもあるが、おおむね尾根に忠実に道はついている。ガレ場は4箇所、どこもエビラ沢側が崩れている。社宮司沢側に回り込む場所は2箇所、ブッシュを避けているだけだ。
★袖平山頂近くは、下りは迷うことないのに、登りは分かりづらい。
★下りに目安にすべきは、黄ビニルテープと樹木への赤ペンキ印だ。特に1000m付近の植林帯が始まってからは、絶対にピンクテープに惑わされることなく、赤ペンキ印と黄ビニルテープを目印にすることだ。それ以前にもピンクテープに類似した赤布の色あせた物がいくつかあるが、赤布とピンクは違う。赤布はおおむねルートどおりにあるが、ピンクはしょっちゅうルートから外れたところにあるので当てにしないほうがいい。
★1000m付近の薄暗く幅広い植林帯でうっかり社宮司沢方向へ下ってしまわないコツは、植林帯の左端を下るよう意識することだ。正面に近い左前方に大室山を目指せば大丈夫だ。
★十字路まで戻って、直進して社宮司橋を目指してみた。722mピークまではすぐで、そこからは登ってきた方向から見るとほぼ正面真北に向かうまっ暗い植林の中を下ることになる。ピークには標識があるが、すぐに道は全然分からなくなる。少し下ると尾根が痩せて迷いようはなくなりほっとしたところで、小さなピークに出る。
★このピークはおよそ標高600m。ここにも標識はある。ここからは一面バカだたっ広い尾根というより斜面で、ほとんど道は不明だ。進んできた方向どおりに真北に下ると橋よりかなり上流に下ってしまいそうだから、北西方向に下る。見ると赤ペンキと黄ビニルテープがかろうじてあるにはある。少し下って尾根っぽくなると不明瞭ながら踏跡がある。ジグザグに急下降すると、そこは、神ノ川キャンプ場前の社宮司橋から10mほどところだ。
★600m小ピークからの下りで、あまり左に寄らないほうがいい。神ノ川林道は社宮司沢橋からエビラ沢橋までずっとずっと高い擁壁となっているし、もっとエビラ寄りになると枝沢の岩壁となっているから、正しいルート以外は降り立てる場所はない。
★エビラ沢を遡行した場合、あるいは車をエビラ沢出合に止めた場合、社宮司沢橋に降りてくる必要はないが、社宮司沢橋に戻るとすると、分かりづらいこちらのルートよりは、エビラ沢出合への非常に明瞭な道を下って出合から林道を歩くほうが楽に早く戻れるかもしれない。
◎(2005年9月10日補追)このエビラ沢出合への下山路のコースタイムは、「神ノ川社宮司沢」のページを参照のこと。エビラ・社宮司分岐点695m→(10分)エビラ沢右岸道550m→(10分)エビラ橋420m