あの山この沢
北丹沢神ノ川 雪の檜洞丸北東尾根
檜洞丸から神ノ川に急峻に落ち込む
彦右ェ門谷とヒワタ沢を分ける北東尾根を登高
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コースタイム
長者舎山荘手前仮設ゲート500m→(15分)神ノ川
ゲート560m→(65分)広河原725m
→(3分)北東尾根取付点740m→(15分)尾根上(ワイヤー散在地)1090m
→(10分)植林帯終わる(小さな草原?)1150m→(140分)1520m地点
引き返す→(35分)植林帯始まる→(35分)彦右ェ門谷740m
→(60分)神ノ川ヒュッテ560m→(10分)仮設ゲート
2008年2月23日
★神ノ川林道
は、昨年9月6日の台風9号による土砂崩れの復旧工事のため、長者舎山荘の200mぐらい手前から先は通行止めになっている。仮設ゲート手前に車を止め、神ノ川ゲートまで約15分ぐらい歩くことになる。林道や神ノ川ヒュッテの被害は、「Photo
BBS」を参照。
★2月になって一週おきに立て続けに東京でも降雪があったので、ヒュッテから先は、犬越路への登山道も神ノ川林道もかなりの積雪となり、北丹沢でも久しぶりの雪山を楽しめる冬になった。以前は毎年のように深雪のハイクとなったのだが、ここ数年暖冬のせいかほとんど積雪がなかった。今年の犬越路までの積雪は「Photo
BBS」を参照のこと。
★先週は谷川岳山麓で吹雪の中、深いラッセルと格闘しながらレスキュー訓練をしていたので、丹沢の降雪から2週あけての入山になるが、まだまだ深雪が楽しめると思っていたが、予想以上に積雪は減っていた。
★それでも神ノ川
ゲートから先の林道は20cm以上の積雪で、工事用車両が通った轍は10cmもの圧雪となりコチコチ状態だ。このため、無雪期ならば広河原まで45〜50分程度でたどりつけるはずなのに、今日は神ノ川ゲートから70分近くもかかってしまった。それもゴム長で滑らないよう歩くことでぐったり疲れてしまった。
★台風による土石流の被害はこの林道にもあるが、もうきれいに片付けられていて、通行には支障ない。しかし、広河原のヘアピン地点ではちょっとした広場に残土が積み上げられていて、彦右ェ門谷が見下ろせないぐらいだ。
★茶色の彦右ェ門谷の標識があるところから彦右ェ門谷左岸沿いの治山植林帯を抜け、沢の護岸沿いを進む。対岸の源蔵尾根への取り付き案内標識を過ぎて、少し先で谷幅が急に狭くなるところに堰堤がある。この堰堤の手前に右から小さなガレ沢が出合うが、檜洞丸北東尾根への取付点はこのガレ沢の手前だ。右上の斜面を眺めると赤テープがいくつか見える。堰堤に向かってトレースが2,3人分あったが、取付点から上の斜面には一切ない。ここから楽しみにしていたトレースのない尾根のハイキングが始まる。
☆彦右ェ門谷はこの先堰堤をいくつも越え、その先は傾斜の緩い滝が3個あるのみでツメまでずっとゴーロなので、雪の谷歩きを楽しむにはいいかもしれない(滝の部分は注意)。彦右ェ門谷の遡行については、「神ノ川彦右ェ門谷」のページ参照のこと。
★一面雪の杉の植林帯の斜面なのでどこでも登れそうでもあるが、斜面が急なので夏道があるらしき窪みや赤テープを頼りにジグザグ登っていく。何度かガレ沢の左岸に接してはジグザグを切った後、道は二手に分かれていると思える。一方は、ガレ小沢からあまり離れることなく直上しているのかもしれない。多分そちらのほうが近道ではないかと思えるが、比較的に道らしき形跡の残る右へ右へとトラバースしているルートに入ることにした。
★すぐに植林がまばらで雪の解けたガレ場を通過して、さらに右へ右へとトラバースするようになる。眼下を見下ろすと彦右ェ門谷側から神ノ川側へ回り込んでいることがよく見渡せるほど右へ回りこんでくると、再び積雪はぐっと深くなって膝上までもぐるようになる。さらに回り込んでヒワタ沢側まで回り込んでるんじゃないかと不安になってくるころ、深い雪の斜面にかすかに残る夏道の窪み・段差、次の赤テープの位置が再びジグザグ道に変わって急登するようになる。かなりの急登だ。
★その後また徐々に左へ回り込んで、前方から青テープ印の道?が合流してジグザグすると、急にぽっかりと円形の小さな雪原が現れる。雪の中からワイヤーや鉄筋が覗いてるところから察するに、ここは小屋跡か資材置場跡だったのだろうか
(雪に覆われてきれいだが、実際は空缶の散らばる伐採跡地)。先の青テープの道はガレ小沢から直上する道なのかもしれない。
★ここで、やっと檜洞北東尾根に乗ったことになる。左手には蛭ヶ岳の勇姿、振り返ると風巻ノ頭から袖平山、姫次への稜線が見渡せる。
★急な尾根をジグザグ登って、傾斜が緩やかになるとまた小さな雪原(ここも伐採跡地)が現れ、ここで植林帯が終る。蛭ヶ岳が幾分近づいたが、まだまだ上方に仰ぎ見る高さだし、目指す檜洞丸方向はひたすら尾根の急斜面があるだけで何も見えない。
★ここからはひたすら尾根を上へ上へと登っていけばよさそうだが、所々傾斜が急すぎて尾根の右へ回りこむようにして登っていく箇所がある。たまに赤テープや赤ペンキ印があって迷うことはないが、一面雪の斜面で邪魔なものはないから直登できるところは目印を無視しても大丈夫。尾根の天辺をはずさないようにほとんどまっすぐに進めばよい。
★尾根も痩せてくる1300mあたりからは積雪も深まり、ほとんどずっと膝上のラッセル状態で、傾斜が急なところは次の足が抜け出せないぐらいだ。降雪から2週間も経ってふわふわ雪はしっかり締まっているもののやはりここ4日間の好天続きで雪は湿り重い。ストックを忘れてきたので途中で杖になる枯枝でも拾おうとしたのだが、一面雪に覆われ棒切が見つけられなく、とうとうこんなところまで登ってきてしまったのでますます杖代わりのものなど見当たらない。一歩一歩がすごく重い。
★木の間越しに左手に見える蛭ヶ岳が俄然大きく近づき、右手前方の熊笹ノ峰(大笄・オウコウゲ)がぐんぐん目の高さになってきた。1470mあたりを過ぎると傾斜が増しあえぐように深々と埋まる足を前に出す。いったん傾斜が緩むと目の前に檜洞丸の山頂が見え隠れするようになる。蛭ヶ岳からの主稜の各コル(乗越)が下方に見えるようになる。急傾斜を避けてジグザグ登高しようとすると、急斜面の雪の浅い所では、地面の大きな枯葉を踏んづけたりして足が滑る。このあたりは、夏場だとバイケイソウが群生している地点だ。
★真南に頂上が見える位置辺りで左の谷底からの切れ込みが合流しているような地形に出くわす。彦右ェ門谷を遡行してくると、ちょうどこのあたりにツメ上げてくる。頂上はもう少しだ。
★しかし足が重い。雪が重い。午前中までの好天も曇り、東風が西風に変わってきた。時々雪もちらついてきた。ここから先はもう2度も歩いている。こんなにくたびれていると、あとほんの少しもまだまだ時間がかかりそうだ。下山までを考えるともうそろそろ時間切れだ。ということで、およそ1520m付近、最後の一登りというところで、今日はお仕舞い、登ってきたルートを引き返すことにした。
★自分のトレースを忠実に駆け下りればいいのだが、深くもぐりこんで踏み込んだ次の足が重い雪に取られて引き出せない。ゆっくり降りるしかない。下降し始めて、登ってきた尾根の傾斜がかなり急で痩せていることが分かった。
★頂上付近では1m近いさらさら雪かなと予想していたのだが、実際は60〜70cmぐらいの湿雪だった。