あの山この沢
丹沢、神ノ川平石沢右俣
本流に当たる右俣は水流は直ぐ消えるが、
巨岩帯やナメ小滝が続き、日陰沢新道に登りつめる
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コースタイム
平石沢出合(長者舎山荘上)510m→(20分)二俣、F1下585m→右俣へ→
(6分)広いナメ600m→(7分)右岸に巨岩の台地620m→(10分)二俣風(左はただの窪み)670m
→(10分)垂直8m湿った滝705m→(10分)二段13m滝上745m→
(25分)左岸コンクリ状のスラブ、右岸は巨岩815m→
(25分)巨岩のチムニーを左から巻く890m→(35分)植林帯の泥の溝ドン詰まり1130m
→左の植林帯へ→(7分)日陰沢新道1145m→(50分)日陰沢590m→
(3分)神ノ川ヒュッテ→(6分)長者舎山荘
2004年7月17日
★神ノ川林道の神ノ川ヒュッテ手前の長者舎山荘(チョウジャゴヤ山荘・改装中?)のすぐ上に出合う小さな沢が平石沢だ。 林道脇は広くなっているので、上の方に車6台ぐらい、山の神の祠を挟んで下の方(平石沢出合)には車5台ぐらいは止められる。
★平石沢といえば、左俣中流にある大高巻きを強いられる二段18mの大滝がメインの扱いで、このため支流である左俣のガイドや記録しか見当たらない。今回は
ガイドや記録のない右俣を遡行してみた。
★水量が少ない平常の平石沢を遡行すると、「エッ右俣なんてどこにあるの?」って見落としかねないが、大雨直後などに行って見れば、普段はほとんど水流のない右俣がしっかり出現することがわかるだろう。
★ということで、通常に言う平石沢のF1までは「平石沢左俣」のページを参照のこと。
★このF1が二俣だが、このF1、左俣を主に見ると上の2m滝を合わせて二段8m滝とでも言うのだろうが、右俣から見ると単に一段の6m滝ということになる。この右俣の方は、上の1段目3番目の写真のように普段は水量がそんなにはない。これとほとんど同じ位置からの写真で水量が多い時の状態はこちら、左俣のページ参照。
★F1は釜の右手から取付いて、ちょうど二俣の付け根にたどり着く。右俣はすぐ奥に見える3m滝までは平らなナメで、この沢でいちばん美しい所かもしれない。この滝上で沢は右に曲がって少々荒れているが所々ナメ小滝が現れる。
★しばらく行くと左手右岸に巨大な岩がいくつか転がっている。巨岩の上にはしっかり樹木が育ち、巨岩の奥には広大な岩小屋(10人以上は横になれそう)となっている巨岩も転がっていた。地元の人が酒盛りでもしたのか、一升瓶も幾本か散らばっていた。この少し上で水流はほとんど消えてしまう。こ
の岩小屋は水に困らないで生活できるギリギリの位置って所だ。
★10分も進むと、一見二俣と見紛う地形に出くわす。正面はただの大きな窪みでそれより奥はない。したがって右に進路をとることになるが、ここは5mのチムニーだ。滝上はゴーロとなっているが、水量が多いときはゴーロを流れ下って大岩をジャンプして、先の「二俣風のただの大きな窪み」に落ち込むのだろう
か。
★この後8m前後の傾斜の緩い滝が連続する。はじめの水流で濡れている8m滝は、真ん中から右上にのびるバンドを伝って右上に登り、上部で中央部に戻るように攀じる。下部は非常に脆いので要注意だ。
★次の階段状8mは簡単、その次の大岩の被さる8mも簡単。さらに次の8m滝はその上の5m滝と合わせて二段13mとなっている。この滝の岩は硬くて快適。
★左岸がコンクリートを流し込んだような色の濡れている岩になりかけの岩壁の所は、右岸から転がり被さっている大岩が下方から見ると今にも落ちてきそうで、衝撃も与えず素早く通過したい所だが、倒木が被さっていて跨いだり潜ったりですんなり進めない、大岩がずり落ちてきそうで焦ってしまう。
★泥っぽい二俣状を左に入ると沢は荒れてくる。この二俣が最後の二俣だ。右に入ると黒岩に達する。黒岩へは「平石沢右俣から黒岩へ」のページ参照。
★大岩で沢のドン詰まりのように見える最後の滝場は大岩の左を巻く。巻いてみて分かるが、大岩なんてものじゃないほど大きな巨岩だ。この沢はどうしてこんなに巨岩が多いのだろうか。
★滝場が終わると傾斜が急になる。右手上には黒岩といわれる大岩峰が見える。
★ガレた沢は植林帯に泥のルンゼを穿ち、ひたすらこの急斜面のルンゼを登っていくと稜線が見えてくる。
★大室山から鐘撞山に至る尾根はおおむね北方に伸びているのだが、この尾根が神ノ川ヒュッテに下る日陰沢新道と分かれて鐘撞山(900m)手前の地図上の934m地点までの間で部分的にほぼ東西に向きを変えているところがある。平石沢右俣はこの東西の尾根に平行に稜線へつめ上がることになるようだ。
★最後までつめて稜線に達したかったが、杉の樹林帯の中のルンゼを忠実に詰めると、ルンゼが終わった所から猛烈な藪漕ぎになりそうなので、左の樹林帯に上がり、ほぼ左にトラバース。およそ7分で日陰沢新道に藪漕ぎなしで出られた。出た所は日影沢新道の最後の丸太の階段の所だから、右へ5分も登れば稜線だろう。
★日陰沢新道は、地元の藤野山岳会によって整備されているから、所々崩れてガレたところもあるが迷うことなく神ノ川ヒュッテまで下山できる。
★先日、左俣を少し上部まで登った折り、左俣のすぐ南の尾根伝いに長者舎に下れる仕事道があるはずのところ、その仕事道を探しきれなかったのだが、今回いくつかのかすかな分岐を見つけた。いつか辿ってみようと思うが、2万5千図を丁寧に見ると、1050m以上の地点から下山するには小尾根伝いに長者舎山荘まで下降するよりは、早く日陰沢に降り立つ方が時間的には速く降りれそうだ。