あの山この沢
丹沢、神ノ川金山谷
丹沢主稜縦走路のど真ん中に突き上げる神ノ川の本流
金山谷も、源蔵尾根を下れば広河原まであっという間
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コースタイム
神ノ川ヒュッテ560m→(40分)広河原725m→(10分)岩水沢出合720m
→(25分)仏谷出合790m→(30分)F4、9m滝下940m→(25分)F6(大岩)滝下1035m右へ
→(10分)岩窪状二俣1060m右へ→(15分)最後の二俣1080m右へ→
(15分)右側斜面崩壊地始まる1150m→(15分)金山谷乗越1300m→
(2分)源蔵尾根1310m→(55分)彦右衛門谷(広河原)720m→(30分)神ノ川ヒュッテ
2003年8月2日
★神ノ川
は広河原で右(左岸)から広大なゴーロと大きな堰堤で彦右衛門谷が合流して、それより上流は金山谷と名を変える。蛭ヶ岳を源流とする仏谷が本谷ではなく、蛭ヶ岳から主稜縦走路を約2km西に下った
神ノ川乗越や金山谷乗越にツメ上げる金山谷を本谷とするようだ。
★この金山谷の最後のツメは、本流らしき谷を自然に遡れば神ノ川乗越ではなく金山谷乗越に辿り着くので、金山谷乗越が金山谷の源頭ということになりそうだが、神ノ川の源頭は名前からして神ノ川乗越のようでもあるし、よく分からない。
★その昔武田信玄が金を掘ったという言い伝えのある谷が金山谷だ。
★仏谷を分けた後の金山谷は蛇行しながらも丹沢主稜線の北斜面にあるせいか全般的に薄暗い感じのする谷である。しかし、水はどこまでも澄んで清い。
★広河原から岩水沢出合までは、岩水沢のページを参照のこと。
★F1の魚止ノ滝5mは、左壁沿いに釜に入って腰上まで水に浸かれば、2,3歩で滝左のルンゼに這い上がれる。手前でガチャ類を装備しロープを出してこれぞ沢登りとばかりがんばっているパーティーもあるが、ジャブジャブ浸かれば、左のルンゼは傾斜も緩やかなので簡単に登れる。多分高巻くより簡単だ。ただし水量が多いと完全なシャワーになる。
★魚止ノ滝上には傾斜の緩やかな6m滝がある。水流沿いに上るのが楽だが、濡れたくなければ右の乾いた岩壁を登る。
★仏谷出合手前の大きな釜を持った滝も右端が簡単に登れる。
★仏谷出合までは、小谷のページを参照のこと。
★仏谷出合は、仏谷の方が直進方向なので、金山谷は直角に右に曲がる。出合直前に、右の台地に上がって金山谷入る踏跡がある。
★大きな岩のゴーロを抜けると、沢は大きく左に曲がり広い河原となる。この屈曲点左の樹林の台地に、ミカゲ沢ノ頭へ向かうかすかな道がある。
★F4とされる9m滝手前の4m滝までは単調な河原とたまに小滝があるが困難な滝はない。小滝も大岩の重なりによるものが多い。
★広い河原を過ぎると右から2本枝沢が合流する。1本目の上部には滝がかかっている。2本目の出合で岩の重なりのハング滝がある。右から取り付く。濡れたくなければ、左に回りこんで乾いた岩壁を登る、階段状になっているので簡単。
★この後金山谷の「連瀑帯」となって、その先正面に白っぽい岩壁が見える。
★ゴルジュ状になって正面頭上に白っぽい大岩壁が見えると、9m滝手前の二条4m滝となる。右端が簡単そうだが、クラックが左に斜上しているので真上には登れない。右の流れの落口目指して左方向に斜上気味に攀じることになる。
★二条4m滝上はすぐにチムニー状5m滝があるが、岩がかぶっているので登れない。手前の6mほどの垂直な乾いた岩壁を登って滝上に出る。なるべく右のブッシュ寄りにルートを取ると簡単だ。
★この岩壁の上の台地の正面に高さ50mはありそうな大岩壁が聳える。しかし、足元に鋭角の岩ころがゴロゴロ転がっていることからも、この大岩壁は崩壊途上で、この真下に長居は無用。
★沢はこの大岩壁の真下で右に直角に曲がり、V字状側壁の奥に9m滝が構えている。立派な滝だ。そばまで寄ってみてもとても登れそうもないので、右(左岸)の小尾根に逃げて高巻く。小尾根は岩のリッジで、しっかりと踏跡がある。少し上で尾根が両側崩れかけている所を登り返して、後は樹林の斜面を滝上の河原に駆け降りる。
★綺麗なナメを過ぎ左に枝沢を分けしばらく行くと、泥っぽいF5とされる5m滝が現れる。この滝のすぐ上には6mのF6がある。この滝の下に左から小沢が合流し、滝上には台地のような大岩が横たわっている。
★岩窪状のコロラド渓谷のような二俣は気持ちのいいところだ。水量の多い左は小滝がかかっているが、100mぐらい進むと水も涸れ、広大なガレとなる。やはりここは右に進む。すぐにミニゴルジュとなる。
★最後の二俣(ここは二俣らしい二俣だ)を左に行くと、神ノ川乗越にツメることになるようだが、神ノ川ヒュッテ方面に下山予定なら右に進む。こちらの右の方が水量も多く、本流だろう。もう右手はるか上には稜線が見える。しかし、ここで見えている稜線は下山に使う源蔵尾根だ。
★すぐに右側(左岸源蔵尾根の斜面)がほとんど最上部から崩壊している異様な光景に立ちすくむことになるだろう。主稜縦走路にツメ上げるまで約20分間最後までこの土砂の崩落した地形を右手にずっと見ることになる。斜面の崩壊で沢床は完全に埋まり、源頭部らしい沢のゴーロもなく、まるで工事現場の土砂置き場の上を歩いているようだ。しかし埋まることはない。以前遡行したときはこんなことはなかったのだが。おかげで滑り易いザレもなく、ツメの泥壁も岩が露出し快適に縦走路に飛び出せそうと思うのは早すぎた。縦走路(稜線)まで後ほんの3、4mのところから非常に危険な泥の急登となる。
★何とか縦走路の安全柵の鉄杭を掴んでホッ。
★縦走路は金山谷側が大崩落して、橋が渡してあったり桧洞沢側に迂回路のハシゴが架けてあったりで、いずれはもっともっと崩れて大キレットになるのかもしれない。
★縦走路を右(檜洞丸方面)に2分も行くと、広河原への下降点の目印がある。標識には以前は広河原1時間30分と書いてあったが、もう消えて読めない。
★源蔵尾根は始めのうち、右側の金山谷側がすっぽりと崩れ落ちているので要注意だ。所によっては道(踏跡)の下はくりぬけていてふわふわしている。
★遡行の最後、右側斜面の大崩壊が始まるところで右手前の樹林斜面に取り付けば、最後の急登ほどではなくこの源蔵尾根に上がれることになりそうだ。
★痩せた尾根から道が左斜面に下って二重山稜のような地形になるところ(金山谷の支流七間小屋谷の源頭部)で左の尾根に移るところが迷いやすいが、今は迷わないように虎ロープが張ってある。
★さらに下ると、尾根がもう一度右に分岐する。源蔵尾根は下りでは左に左にと尾根を選べばいい。
★沢のガイドブックの中には、下山は金山谷乗越から檜洞に登って大笄から矢駄尾根を下って神ノ川ヒュッテまで約3時間とあるものもあるが、檜洞まではまだ標高差300mもの急登が待っている。源蔵尾根からスタコラ下ればヒュッテまで1時間半だ。