あの山この沢

丹沢、神ノ川ミクボ沢左俣本流(左俣左沢)
短時間で遡行し、東海自然歩道を楽々下山

付録 左俣右沢大滝

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神ノ川林道上から
出合が見下ろせる

川への下降点、右か
ら入り小尾根を下る

ミクボ沢出合、
水量は少ない

F1、6m滝
左を大きく高巻く

F2チョックストーン滝
遠景、上の滝と二段

F2は右壁を攀じる

二俣の左俣全景
いちばん左の水流
沿いに登るのが楽

二俣右俣全景

左俣の右沢が左岸
(右壁)上部から滝と
なって落下している

35m滝直下から

35m滝下部10mスラ
ブ上から見たところ

奥の二俣上にもスラ
ブが続く、両岸は岩壁

水が涸れてもいつ
までもスラブ状床

疎林が現れるとガ
レっぽくなってくる

最後まで比較的硬い
岩床で稜線に出れる

コースタイム
神ノ川ヒュッテ560m(20分)神ノ川への下降点615m(5分)神ノ川河原580m
(5分)ミクボ沢出合(7分)F1(6m)下625m(8分)F 2チョックストン(10m滝)下640m
(5分)二俣670m(10分)奥の二俣(右沢分岐)下700m(10分)水涸れる750m
(20分)東海自然歩道885m(30分)神ノ川林道(神ノ川公園橋入口)590m(8分)神ノ川ヒュッテ

2003年4月19日
神ノ川流域の沢は流程が長いものが多く、また遡行開始地点から稜線までの高度差も大きく、さらに下降路が限られているため、どの沢も遡行する人が少なく他パーティーに出会うことはめったにない。その中で流程、高度 差とも表丹沢程度の気軽さで遡行できるのがミクボ沢や小洞(コボラ)であろう。
★小洞は風巻ノ頭の袖平山寄り、小洞より下流から遡行するミクボ沢は右俣が風巻ノ頭付近、左俣の右沢が少し下った所、左俣本流(左沢)がさらに5分ぐらい下ったところにそれぞれ突き上げる。
どちらの沢も姫次から派生する風巻尾根の南面を神ノ川に一気に流れ下る傾斜の急な沢なので、流程が短いとはいっても結構困難な滝が多く、両岸切り立った岩壁に囲まれ、高巻きルートもない所も多いので安易な気持ちで入谷すると危ない。
小洞は出合から少し入ったところにあるF1(30m)大滝で最近転落事故も起きている。ここは右の泥ルンゼを攀じって中間の大木があるバンドまでは容易だが、そこから滝の落口目指すバンドは一枚岩の極端に外傾しているスラブを約5m斜上するところが危ない。写真参照
さて神ノ川林道からの下降点だが、一般車通行止めのゲートをくぐって林道を広河原方面に進み右に矢駄沢、大竿への登山道を見送り、左に東海自然歩道(風巻尾根入口)を過ぎ、右に孫右衛門谷の大滝を見送ると、トンネルが二つ(孫右衛門トンネル、小洞トンネル)ある。2つ目のトンネルを過ぎると道が大きく右にカーブする所があるが、ここの左手に小さな尾根らしき樹林がある。この樹林の右手に笹で覆われた踏跡がある。笹を掻き分けて進むと、すぐにしっかりした尾根上の道となり、しばらくは水平に進んだ後ジグザグに急下降する。
★降り立った河原の向かい側に小さな流れで出合うのが小洞。なお、降り立った河原の手前の杉の樹林帯はちょっとした台地になっていて、テント2張ぐらいは張れそうだ。
ミクボ沢に行くには、河原を下降し、堰堤を左から巻いて降りる。最近流れが変わって、堰堤手前が深くえぐれているので、少し濡れながら左岸のバンドに移ることになる。
★堰堤を降りきったところの正面に出合うのがミクボ沢である。
★ミクボ沢に入ると、すぐにトイ上のナメ滝がある。滝壺に3、4歩膝まで浸かって水流沿いを登る。
6m滝F1は登るとすると水流沿いが無難そうだが、登られた形跡はない。左から巻くが、はじめの岩壁登りが悪い。岩壁の上はガレを少し上部まで登って、右の台地に移る。台地には炭焼き跡がある。すぐ下はF1上のナメがすごく綺麗だ。台地からそのまま水平にトラバースすれば沢に降りれる。
トイ状やナメ状の滝を過ぎると、F2チョックストーン滝となる。チョックストーンすぐ上の滝も含めると10mはあるだろう。ここは右壁を直上してバンド状に登りきれば安全圏だろう。シャワークライミング覚悟なら、左壁から落水を跨いで右壁に足を突っ張り、流れに頭を突っ込んで左上する。チョックストーンの上からも水が滴り落ちているのでかなりびしょびしょになる。やはり右壁が正解だろう。

★この上で二俣となる。右俣は水量は少ないが大きな滝である。
左俣の滝は水流沿いに登るのが楽。
★左俣に入ると、この後滝とナメ滝が連続し、左岸岩壁はるか上から飛沫状に落下している左俣の右沢の大滝(これをF7、35m滝とするようだ)が見えてくる。
このF7は左沢(本流)側も10mのスラブ滝となっている。下から見ると一見簡単そうだが、近づくとつるつるに磨かれていて容易ではない。右から取付き 中段のバンドを左端まで移動し、左端にある岩窪を攀じって上の段の泥バンドに達する。ここから右に水平にトラバースして、滝上に達する。
★岩窪を攀じるのが大変であれば、最下段の左の樹林帯から大きく回り込めば、この上の泥バンドに難なく達することができそうだ。 (後日確認、こちらに幾人も歩いた踏跡があった。)
★スラブ滝上の1本の潅木が右沢F7登攀のビレー点となるようだ。
★スラブ滝から上は、どこにも休憩できそうな平らな場所がないほどの急傾斜のスラブが続く。
★水が涸れてもスラブが続くが、徐々に石ころのガレも混じってくる。右は垂直の岩壁、左は綺麗なスラブで、左のスラブが切れてクマザサ帯に変わってきたら、稜線は近い。
ツメは最後まで岩床を直上するのが藪漕ぎなく登山道に出れるベストルートだろう。急傾斜に疲れ左の熊笹帯に逃げ込むと、かなりの密生した藪漕ぎになりそうだ。
下降路の東海自然歩道は、尾根通しの道が左の斜面のジグザグ道になって最後の左へのヘアピンの所(姫次2時間40分の道標のある所)から直進で、尾根末端に至り、神ノ川川原に草を掻き分け降り、川を渡って(ほとんど伏流)長者舎山荘に至る踏跡がかつてはあったが、今はほとんど廃道となっている。電車バスで、青根集落から林道を歩いて来た場合はこちらのほうが神ノ川ヒュッテ経由より10分ぐらい短縮できる。


ミクボ沢左俣の右沢(2003年4月29日)

写真は右沢出合の35m大滝(F7)上部
★この滝は上の10番目の写真からも分かるように、下部(ハングしている部分)は本流(左沢)にかかる10m滝中間部に落水している。本流下部からも、またこの本流10m滝上からも、ハングしている部分の上は見えない。勢いよく流水が飛び散っているすぐ上辺りが落口だと勘違いしやすいが、出合対岸(左俣右岸)の台地を少し登ってみると、上部の全貌がよく分かる。
★見えていた部分よりまだ上は20mぐらいはありそうだ。
10番目・11番目の写真に写っている立木やハーケンをビレーポイントにして右上のテラス状に斜上し、そこから直上するのが、この滝登攀のルートのようだ。
とても怖くてそんなことできないので高巻きルートを探すと、左俣の左岸側壁は下流の二俣から最上部ガレ場までずっと10m以上の垂壁となっているので、どこにもない!
右俣のチムニーを攀じ登って、右俣F3上から左の急斜面の樹林帯を登り右俣と右沢を隔てる尾根をなるべく左俣の崖上を外れないように乗越すしかなさそうだ。100m以上もの大高巻きとなるだろうが、これが唯一の高巻きルートだろう。ただし、このミクボ沢は全体的に岩窪状だから、右沢に簡単に降り立てるかどうか分からない。チムニー登攀は右俣のページ参照。 いつか試してみよう。

◎2004年6月26日、念願の左俣右沢、やっと大滝を登攀し遡行できました。
詳細は「ミクボ沢左俣右沢」のページ参照。
この結果、右俣からの大高巻きをした場合、左俣右沢出合の大滝落口に降り立つのはそんなに大変な断崖を形成してはいないことはわかった。

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