あの山この沢
丹沢、水沢川焼山沢右俣
丹沢最北端の焼山を源流とする焼山沢右俣を遡行し、
柏原ノ頭手前の倉沢沿い仕事道を下る
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コースタイム
奥野林道通行止めゲート350m→伊勢沢林道に入る→(5分)桃ノ木沢林道分岐360m
→(10分)焼山沢出合(橋)400m→(25分)一旦水涸れる470m
→(25分)左岸に小屋跡560m→(10分)3m滝下585m→(2分)2段目2m滝上595m
→(1分)二俣・右4段7m滝上610m→すぐ上で仕事道横切る(丸木橋)
→(5分)石積堰堤1つ目640m→(15分)石積堰堤2つ目上・奥の二俣650m→右へ
→(6分)石積堰堤3つ目670m→(15分)二俣状右へ750m
→(20分)登山道(標識=焼山へ1.5km)900m→(25分)ベンチ(標識=焼山へ0.8km)1010m
→(10分)東海自然歩道1050m→(5分)焼山頂上1059m→元に引き返す
→(20分)沢のツメた地点900m→(14分)ベンチ・西沢分岐740m
→(20分)ベンチ・登山道直角に左折680m→(14分)標識=焼山へ3.7km550m
→右の作業道を下る→(15分)林道終点420m→(3分)焼山沢出合
→(8分)伊勢沢林道→(5分)車止めゲート
2007年2月24日
★水沢川は早戸川
の早戸橋の400m下流で左岸から八丁ノ滝で注ぐ。早戸川の大支流というところだが、宮ヶ瀬ダムができてからは、ちょうどこのあたりがダム湖のバックウォーターとなり、今では宮ヶ瀬ダムに注ぐひとつの川といえそうだ。
★この早戸川と水沢川の出合で、宮ヶ瀬ダムの水量調整のための導水管が相模湖と結ばれているのはあまり知られていない。この出合付近は、ダム湖のバックウォータとなっているため土砂が堆積して八丁ノ滝もなんとなく昔に比べさえない風景となっている(写真)。
★水沢川の本流は、ここから300mぐらい上流の堰堤直下に大きな釜を持った水流が3つに分かれた複雑な形の8mの立派な大滝をかけているが、その上流は「松茸山自然の森公園」の河原となって水量も少なく、この上流に幾つもの支流に分かれているとは思えないぐらいだ。
★宮ヶ瀬湖岸の車道から早戸川に向かうと、この八丁ノ滝上に架かる水沢川の橋よりもほんの少し手前で奥野隧道からの道が合流する。水沢川に入るにはここを奥野隧道へ向かう。鳥屋集落から奥野隧道への道に入った場合は、隧道を抜けると左から先の八丁ノ滝からの道が合わさる。このT字路を鳥屋から隧道を抜けてきた場合右に向かえば奥野林道だ。水沢
川左岸を1.5kmほど進むと水沢橋が架かり右岸に渡って、ここで車止めゲートとなり、数台車が止められる。
★ゲートは2つあり、左が大平に向かう奥野林道、右が水沢川川伊勢沢に向かう伊勢沢林道だ。
★右岸沿いにほとんど勾配のないまま舗装された伊勢沢林道を5分も進むと右に未舗装の道が分かれる。川も二俣となって、右に倉沢が分かれる。水沢川本流はここから伊勢沢と名が変わる。本流の橋を渡って倉沢右岸沿いに桃ノ木沢林道に入り、のんびり散歩気分で歩く。相変わらずほとんど勾配がない。
★分岐から10分も歩かないうちに沢は二俣となるが、右に分かれる倉沢は出合が狭い溝状になっているのでうっかりすると気付かないまま過ぎてしまう。しかし、すぐに左からの焼山沢を渡る橋が架かって、橋の下は大ナメとなっているので、ここが焼山沢だと分かる。二俣となっているはずだからと橋を渡って周囲を観察すると、なるほど倉沢は右手に分岐していて、林道はさらに奥へ伸びている。
★★さて、この焼山沢は昭文社の地図でもあるいは登山者の間でも焼山沢とされているが、地元の林業関係者の話だとこの沢のことが「倉沢」で、昭文社の地図で倉沢とされている沢は「桃ノ木沢」というのだそうだ。したがって、昭文社の」地図上での倉沢沿いの林道が桃ノ木沢林道と名付いているのだ。では、焼山沢はどこ?となるが、焼山沢なんて名の沢は昔からないそうだ。
◎ここでは、昭文社の地図の名称を使うことにする。
★橋の上から大ナメを鑑賞して橋のそばの左岸の植林帯で沢支度をして沢に降りる。降りるというほどのことはなく、1mも下降することなく大ナメに立つ。日当たり
も悪く、水量も少ないせいか、ナメは黒くヌメっていて見た目はきれいとはいえない。しかし、側壁に至るまでスラブとなって奥秩父の東沢釜ノ沢の千畳ノナメの景観に似ている
(ミニチュア版だが)。タダやっぱり残念なことには圧倒的に短くさらに黒くヌメっていることだ。デッキブラシでも持って行って磨けば立派な観光名所になりそうだ。
★大ナメが終わるとすぐに沢は単調なゴーロとなるが、右岸側壁は所々黒々したスラブとなっている。
★沢はボサで歩きにくい所もあるが、沢沿いに着かず離れず作業道があるので、時々そちらを歩いてみる。一旦水が涸れるが、すぐにまた水流が現れ、小ナメを過ぎて右手上に壊れた小屋跡らしき波板の残骸を見送ると、
3m滝が現れる。
★3m滝は大きな釜を持って一見登れそうに見えないが、
左をへつって右壁の苔むした壁に取り付く。ホールドが豊富で、そんなに難しくなく登ることができる。
★3m滝
上には大きく深い釜を持った2mナメ滝がある。倒木が邪魔くさいが、左をへつって倒木を利用して落水の左側を登る。久々のこの冬一番の冷え込みとなったこの日は、釜
に落ちると寒いので滑らないよう流水に足場を求めることになる。
★この2段滝3m2mの上にきれいなナメが現れるが、すぐに4段7m滝の最下段の大きな釜となる。ここが二俣だ。見た目には二俣に見えず、沢が右折しているようにしか見えないが、正面の濡れたナメ滝が左俣だ。左俣はほとんど水流もなく、ナメ滝の上に苔に覆われた多いわがかぶさっているので、沢が奥に続いているようには見えない。
★右俣に入って4段7m滝は最上段の3m滝は釜も大きく垂直なので登れそうもなく、3段目までヒョイヒョイ登って、そこから左を高巻く。滝上にすんなり降り立てる。
★この右俣は、地元では権現沢と
言ってるそうだ。
4段7m滝下で直進の「左俣」が地元では『倉沢本流』で、奥に幕岩といわれる岩壁があるそうだ。詳細は、「水沢川焼山沢左俣」を参照のこと。
★また小ナメとなって、正面に1m小滝の上に大木が横たわっている。これは倒木ではなく、作業道の丸木橋だった。まだ作業道が沢沿いにあったのだ。
★丸木橋を過ぎると、苔に覆われた石積堰堤が現れ、2つ目の上で二俣となっている。水流のある谷の開けた右に入る。
★3つ目の石積堰堤を過ぎしばらくすると、また二俣となる。ここもやはり谷の開けた右に入る。水流はこのあたりで完全に涸れる。
★源頭の様相のゴーロはやっと傾斜も出てきて、ひたすら登って行くと、前方に標識が見えた。鳥屋集落の平戸から焼山へ向かう登山道が横切っている。遡行はここで終了。
★ここから最短で下るには、この沢を下降するのが一番だろうが、今回はとりあえず焼山まで登って、ここまで戻ってきて、倉沢を下降してみることにした。
★終了点を横切る登山道を、東へ下って「焼山2.2km」の標識のあるところまで行って、その先のピークの左を巻く道に入らずピークに登ってそこから南西に派生する急峻な尾根を下ることもできるが、このルートは「水沢川倉沢」を参照のこと。
★地図では、この遡行終了点から焼山南面をトラバース気味に西進して東海自然歩道に合流するルートが手っ取り早そうに見えてこのルートをたどってみたが、この道は途中何か所か崩壊していて、とてもハイキング道とはいえそうもない。崩壊している所で道を見失わないように注意しなければいけないし、何よりも焼山沢側急斜面に滑落しないように注意しなければいけない。バリエーションルートといっても過言ではないように
みえる。そもそも、遡行終了点から標識は「焼山1.5km」となってはいても、どこに道があるのか分からない。トラバース道だから、水平に横切っているはずだと考えて初めてルートを拾える有様だ。
★ひょっとすると、こんなルートを行くよりも、がラ場となったこの沢を忠実に直上したほうが山頂には早くつけたかもしれないと思ってしまった。
★トラバース気味の道なのだが、遡行終了点からは頂上までは200m近くも登らなければいけない。いい加減疲れてきたころベンチと「焼山0.8km」の標識がある。ここで道は直角に右折して台地状の疎林帯になる。カール地形をなだらかに登ると東海自然歩道にやっと合流。ここには「焼山0.6km」の標識がある。ここからは広い道となって頂上まではすぐだ。
★稜線の道は昼過ぎなのに霜柱はまだコチコチに凍ったままで、濡れたままの地下足袋で歩いていると足裏がジンジンと冷えてくる。寒い。山頂で何枚か写真撮ったら早々に引き返すことに。
★さて、遡行終了点からしばらくトラバース道を下っていくと、やっと尾根道になる。この尾根は焼山東尾根で、ここより上部は急峻な尾根になるので鳥屋からの登山道はこの急峻な尾根を避けて南面を大回りしているのだ。尾根の傾斜も緩やかとなり尾根道が始まるやっとのんびり歩ける一般登山道らしくなる。
★「焼山2.2km」の標識のある所は、津久井町青野原の焼山登山口へ西沢経由で下山することができる分岐になっている。
登山道は、この後、正面のピークの北面を巻いてまた尾根道になると「焼山2.3km」の標識とベンチがある。このあたりは赤松が多い。今巻いてきたピークから東へ派生する尾根は急峻だが、最短で焼山沢出合へ下れる。
★尾根道をさらに下ると、「焼山3.0km」の標識のある所で道は直角に左折する。直進する尾根を下ると
倉沢出合へ下れる。
★さらに鳥屋方面に下っていくと、すぐに右に分岐する明瞭な道がある。これが倉沢本流(倉沢左俣)沿いに下れる道だろう。
★この分岐を無視して「焼山3.7km」の標識まで下ると、右に下る作業道がある。ここを下ることにする。明瞭な踏跡を下っていくと、左下には涸れた沢床が見えてきて、炭焼き跡を過ぎると沢を横切る。この沢沿いにも踏跡がある。ここから沢に下りて沢を下り始めたが、藪がひどくてすぐに右岸の作業道に戻る。
★やっとチョロチョロと水流が現れたので、また沢に下りてみたらすぐに石積堰堤となる。堰堤を右から下ってもうひとつ堰堤を左岸から越すと、右から水流のある本流(左俣)が合わさって、そのすぐ先で桃ノ木沢林道の終点だ。稜線からこの林道終点までは15分で下れる。沢沿いにずっと道がついているし、沢を下降する興味ある沢ではなかった。