あの山この沢

早戸川白馬沢(大滝手前本谷左岸無名沢)左俣
白馬尾根の大草原に突き上げる、本谷に
大水量の多段滝で落ちる無名の沢の左俣
 

画像をクリックすると拡大されます。


早戸川本流右岸
沿いの道がここで
右岸に渡渉する


雷平(二俣)から
下流を振り返る。
道は左岸沿い

出合の3段滝

3段滝上で沢は左
折し、3m幅広滝上
に2条7m滝がある

2段9m滝
下部6mは右端、
上部3mは水流右

沢は一面ゴーロ状に
なって、まっすぐに
急角度に南上する

右俣出合の大滝

左岸から4条小沢

急峻なゴーロ

遠くからも
眺められる
左俣唯一の小滝

左岸の崩壊地

最後の二俣状

ブナ林が美しい

振り返ると早戸大滝

大草原末端

コースタイム
本間橋(旧丹沢観光センター)585m(15分)伝道685m(40分)雷平810m
(10分)白馬沢出合865m(10分)連瀑帯終わり920m(3分)二俣(右俣出合)930m
(20分)二俣状地形1080m右へ(5分)右の尾根上目指す1100m→鹿柵→
比較的広い尾根に出る(30分)草原南側末端(右俣上部崖)1250m
さらに上方へ
(10分)
大草原1330m下山開始・左へ(5分)大草原北側下端1250m(3分)鹿柵1200m
(20分)1つ目の鹿柵出口950m(5分)雷平→(25分)伝道(15分)本間橋

2005年5月21日
早戸川奥の大滝(早戸の大滝、落差50m)に行く散策道が雷平を過ぎ、左岸から右岸、右岸から左岸と渡渉し、また右岸に渡渉するところで、左岸に 多段滝で本谷に合流してくる水量の豊かな沢がある。この沢の名称は、地元の山仕事によく入っている人に聞いても「名前なんかねーよ」と言われる。滝の上ですぐ水が涸れる単なる溝や窪みに過ぎない小沢に名称などないって ことなのだろう。しかし、この沢はすぐには水は涸れない沢だった。
この白馬尾根から流れ落ちてくるこの小沢、すぐ水が涸れるにしては出合ではかなりの水量だし、出合から見上げるとそれなりの立派な滝をかけているのがよく見える。
★白馬尾根とは丹沢主脈の鬼ヶ岩ノ頭(1608m)付近から派生し雷平に落ち込む、早戸川の本谷と中ノ沢の中間の立派な尾根で、この尾根は上部の草原地帯に冬に雪が積もると馬が前足を跳ね上げているような形に真っ白になるので通称白馬尾根と言われるようになった。この白馬の形は多摩都市モノレールの立川駅あたりからもハッキリ目視できる。
★地図ではこの尾根の中腹、大草原の末端あたりが源頭のこの沢、無名では話がしにくいので、ここでは
尾根の通称にしたがって「白馬沢」ということにした。
★この白馬沢の右俣については、「早戸川白馬沢右俣」のページも参照のこと。
本間橋付近から雷平までおよそ1時間、雷平に左岸から来た場合、原小屋沢にかかる丸木橋を渡って2度目に本谷の右岸に渡る所からそのまま左岸を数m進めば出合だ。雷平から約10分の距離だ。
25000図では 、伝道からの水平道が沢に降りて一度右岸に渡って左岸に渡り直したあと、再び右岸を通って雷平に達することになっている。ちょうど左岸 に岩壁が張り出している所を渡るのだが、今は張り出した岩壁をするりと抜けて左岸沿いに歩くルートの方が標準だろう。だから、通常は雷平には左岸から到達するが、張り出した岩壁の所で右岸に渡るとそのまま本谷も右岸沿いに歩くことになり、左岸に渡ることはなく 白馬沢出合を対岸に見ることになる。しかし、このルートはいくつか古いテープも残ってはいるがほとんど歩かれてなく踏跡を探すのが大変で、今では廃道状態だ。
出合から見える手前の滝は3段8m、どこからでも登れる。その上で少し左折して3m幅広滝、右を登って、さらにその上には左が7mナメ、右は多段ガレっぽい滝、これは真ん中のカンテ右寄りを登る。
この上が2段9m滝で、下段6mはどこでも登れ そうだが滑りやすいので右を登る。上段3mは立っていて水流の右を登るが 滑りやすい。
★この滑りやすい滝を登ると正面に崩れた地肌の河原を見て沢は左折し、連瀑帯最後の滝3mがある。岩ころで埋まっているこの上は見事なほどまっすぐに傾斜の急なゴーロ状沢が伸びている。まっすぐに伸びている正面の沢がさしずめ「左俣」ということになり、地形からするとこちらが本流のようだが面白みはなさそうだから、前回は右俣に入った。今回は、遠く正面に小滝の見える左俣をつめてみ た。
★3段大滝で出合う右俣を過ぎると、すぐに右から4条の滝に分かれて水流が落ちている。上部が見えるがさして大きな沢ではなさそうだ。
★かなり急傾斜のゴーロを登っていくと、先ほどから見えていた小滝らしき地点に到達するが、ただの岩の重なりに過ぎず難なく越せる。ここを過ぎると、水は涸れ、少し沢は右にカーブして傾斜はさらに増し、今度は正面に右壁が大崩壊している所を見る。ここも 、遠くからは泥壁のように見えるが思ったより簡単に通り過ぎることができる。上部からの崩落には注意が必要だ。
両岸とも脆い岩壁の狭い沢床を進んでいくと、二俣状の地形となり、正面が本流っぽく見えるが、正面の溝はすぐ先で行き止まり状態となっているのが分かる。ここは沢床の少し高い右に入ると、急に源流の様相となって沢は急な斜面に消えそうになる。
★すぐ右手の疎林の急斜面に這い上がればそのまま大草原の一角に立てそうに思い、小尾根に上がって上部を目指してみたが、これが間違い。疎林帯はいつまでも続きなかなか 草原状にならない。そればかりか、鹿柵が現れ下山予想方向には進めない。右俣と左俣の中間の尾根には杉の植林帯があったのだ。
★仕方がなく先ほどの沢の源流を左手直下に見ながら、沢に沿ってまだしばらく小尾根を上ると、左手の沢状地形がなだらかなカール地形状になり窪みもなくなった所で、やっとのことで草原の一角に辿り着けた。
★ところがここは、真ん前が右俣最上部の 沢の始まりの陥没地で、草原がえぐれて泥壁がむき出しになった崖だった。白馬尾根の草原末端に辿りついたことにはなるが、草原を尾根の上から見た場合、草原末端の最左端に下降路があるから、この泥の陥没地形を迂回しなければここから馬の背を横切って下降することができない。左俣の源頭のほうが右俣の源頭よりも標高では低かったのだ。
★というわけで、陥没にはあまり近寄らないようにして草原上部を目指してもう少し登る。草地を踏みしめながら10分も登れば、大草原の真っ只中ぽくなる。実際は、もっと上部の方がすばらしい草原なのだが、ここで今回は終了。
草原はまだ枯れたままのカヤトの原っぱだが、いくぶん芽吹き始めていた。緑の草原の写真は「早戸川中ノ沢鬼ヶ岩沢」のページ 参照。
大休息の後、左手下方を目指して下降開始。馬の背状を横切ると、すぐに下降路のある最左端の茂みが見える。草原はどこでも歩けるが、下降路の踏跡は上から見て草原の左端についている。草原末端で樹林帯に入る場合も同じで、尾根の一番左端をはずさなければ迷うことはない。
少し下ると、標高にしておよそ1200m、ドロの地肌に鹿柵が倒れている。ここで鹿柵の中に入り、ひたすら鹿柵を左に見ながら柵に沿ってまっすぐ下ると、標高950mぐらいのところでジグザグ道になり、じきに柵の出口をくぐる。このあたりで標高900m。谷間のような地形を5分も下るともう一度鹿柵の出入口があり、ここから出ると、そこは雷平の丸木橋のそばだ。

<home       <丹沢top